メディカルサテライト 岩倉
○ 長尾尋智、山内 恵、奥田圭三、目叶裕史、眞鍋裕美、小川あかし、波井康、_田幹彦
【目的】血液透析患者の体重設定(DW)は患者のQOLにとって重要である。従来からDWの基準として血圧、心胸比、hANP値、など多くのパラメーターが用いられるが、即応性、正確性が求められる。多周波数生体電気インピーダンス(BIA)法による、身体組成測定を行い透析患者の体水分変化や、DW設定について検討した。
【対象・方法】 当院の透析患者の転入時及び定期血液検査時に透析前後で積水化学社製MLT-100を用いて生体インピーダンスを計測し、田中(筑波大学)らの平成11年度教育医学会発表算出式を用いて身体組成を評価し、心胸比、hANP、と比較検討した。
【結果】MLT-100による正常日本人の体水分分布は60歳以下男性で、ECF24.02±2.97% ICF49.18±1.99%、60歳以下女性で、ECF24.04±2.09%、ICF49.07±2.09%であるため、これを目標値としてDWを設定した。年齢35歳 男性 CAPD11年から血液透析に再導入。脳出血後のリハビリ目的で当院転入。血圧170〜180/100mmHg代。転入時透析前体重58.6Kg・ECF38.90%透析後体重56.4Kg ECF34.14%であった。前後のECFから目標DWを51.5Kg(マイナス6Kg)とした。1週間後までに53Kgまで下降した。hANPは79.3pg/mlから27.4pg/mlまでに正常化し、血圧も120〜130/80から90mmHgと正常化した。男性通院患者45人のうち60歳未満、透析後の平均では、ECF22.16±5.7%ICF43.26±9.4%、hANPでは36.98±5.56pg/mlであった。
【考察】適正なDWは患者のQOLに大きく影響し、高血圧の持続や透析中の血圧下降、心機能低下など長期合併症の助長も考えられる。従来のCTR、hANP値、心エコー検査では即応性、正確性に問題があるため、多周波数インピーダンス法による体水分評価を行った。体組成の目標値を正常値に設定することでデータは安定した。測定方法が簡単で、リアルタイムにDW設定ができたと考えられる。
【結論】BIA法による身体組成評価で、透析患者の変化する体重の内容分析が容易にでき、個々の患者に合わせたDW設定がリアルタイムにできる。